平成25年度も2日間にわたり、広く国民の皆様にすぐれた映画を鑑賞してもらい、映画鑑賞する人口を増やすことを目的に行っている、文化庁主催「優秀映画鑑賞推進事業」を当館にて開催しました。
 入場料:1作品 300円 
定員人数:1作品110名★全席入替制
 

11/23()10:00~12:18
隠し砦の三悪人

【出演者】三船敏郎 上原美佐 藤田進

[解説]

時は戦国時代。隣国との戦いに敗れた秋月家の侍大将=三船敏郎は、残された姫を擁し、隠しておいた軍用金を掘りだして、敵中突破を図ろうとしていた。同盟国に脱出するためである。
二人の百姓を狂言まわしに使い、お家再興にまつわる宝探し、敵中横断にともなう追っかけなどを盛りこんだ作品。襲いかかるさまざまな難関、手に汗握るスリリングな場面が連続する。そのようなシチュエーションをいかに面白く組み立てるかに三人の脚本家、菊島隆三、小国英雄、橋本忍と黒澤明は大いに知恵を絞ったという。観客を決して飽きさせないという決意のようなものもうかがえるシナリオである。この映画が製作された1958年は、映画館入場者数が史上最高の112745万人を数えた年である。この時、映画は文字どおり大衆娯楽の王者であり、そしてこの作品は、まさにその記念すべき年にふさわしい作品であった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。1959年ベルリン国際映画祭監督賞、国際映画批評家賞を受賞。

 
11/23()14:00~15:50
暁の脱走

【出演者】池部良 山口淑子 小沢栄

[解説]

肉体派文学を提唱し、一世を風靡した田村泰次郎による人気小説「春婦伝」を、監督デビュー3作目の谷口千吉が映画化した戦後反戦映画の代表作。敗戦間近の中国戦線で激しい恋に落ちた上等兵の三上(池部良)と慰問団の歌手・春美(山口淑子)は、敵の捕虜となって送り還されてくる。二人を迎えたのは数々の汚名と上官の嫉妬。軍曹の助けを借り、部隊からの脱走を試みる二人に、残酷な結末が待ち受けていた。谷口と黒澤明が共同で執筆した初稿シナリオは占領軍の検閲官により何度も書き直しを命じられ、難産のうえに完成を見た作品であったが、満洲映画協会のスター「李香蘭」として活躍していた山口をはじめ、中国で捕虜になった谷口、中国戦線に従軍していた池部、田村と、外地での体験を持つスタッフ・キャストの結集により、日本軍の非人道的な階級制度を激しく糾弾する野心作となった。1950年度『キネマ旬報』ベストテン第3位。翌年のカンヌ映画祭へ日本からの正式作品として出品されるとともに、香港および東南アジア諸国に輸出された戦後初の日本映画である。


 
 
11/24()10:00~11:34
悪名
 【出演者】勝新太郎 田宮二郎 中村玉緒

[解説]

喧嘩は強いが情けには弱い、痛快無類の好男子、八尾の朝吉(勝新太郎)の活躍を描いた娯楽映画。威勢のいい河内弁と激しいアクションで話題を呼んだ。今東光の人気小説を大映京都撮影所のスタッフ・キャストが見事なチームワークで映画化している。監督の田中徳三、脚本の依田義賢、カメラの宮川一夫、美術の内藤昭、照明の岡本健一、録音の大谷巌らは、日本映画の巨匠として知られる溝口健二監督の諸作品を支えた一流のスタッフである。セット、照明、撮影のコンビネーション、画面の隅々まで行き届いたその技術力を堪能することができるだろう。撮影所という夢の工場が十分に機能していたことを知ることができる一篇でもある。モートルの貞を演じた田宮二郎と勝新太郎のコンビも絶妙で興行的にも大ヒット、本作以降シリーズ化されて大映では15本製作された。そのほとんどの脚本を手掛けた依田義賢によれば、物語はある時期からは原作を離れ、シナリオ作家の創作だったとのことである。

 
11/24()14:00~15:53
雪之丞変化
【出演者】長谷川一夫 市川雷蔵 山本富士子

 [解説]

1927年に『稚児の剣法』で林長二郎としてデビューした大スター・長谷川一夫の功績を祝するためにつくられた「長谷川一夫三百本記念作品」である。1935年に衣笠貞之助監督で空前の大ヒットを記録し、長谷川の代表作ともなった『雪之丞変化』を、同じ長谷川の主演で再映画化するという野心的な企画で、30年近い時を経て、妖艶な女形・雪之丞と無頼の侠盗・闇太郎の一人二役に挑んだ力演が注目される。脇役には市川雷蔵、山本富士子、若尾文子、勝新太郎といった当時の大映の若手スターが顔を揃え、大スターの記念作品に花を添えている。冤罪で両親を失い、歌舞伎役者に育てられ人気女形となった雪之丞が、闇太郎らの助けを得て復讐を遂げる「雪之丞変化」。原作は三上於菟吉の小説で、193435年に発表されて以降、たびたび映画化、舞台化されている。本作で初めて時代劇を手がけた市川崑監督は、光と闇が交錯する斬新な映像、ジャズを駆使した音楽など、様々な面で、時代劇の常識を打ち破る演出を試みている。この年の『江戸無情』が長谷川一夫の最後の映画作品となった。

トップへ戻る